Japanische Klassiker mit Furigana
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にゅうばい
入梅
久坂 葉子
Lesen Sie 入梅 (にゅうばい) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.934 Zeichen · 20 Bildschirme
未亡人、なんといういやな言葉だろう。女がひとりで生きてゆく、なんとかなしいことだろう。私は一晩中、ねむれなかった。枕がびっしょり涙で濡れた。
けれども翌朝になると、私はふたたび二人に対して憤りを感じないではいられなかった。おはるに暇を出そうとも思った。だが個展を前にひかえてこのいそがしいのに、はっきりした理由もなくおはるに暇をやるのは馬鹿げていた。あまりにもそれは感情的であり、それが私の嫉妬ともひがみともつかぬものと気附いた時、暇を出すことを打消してしまった。ところが丁度、その一週間も後のことだったろうか、朝食後、私は、「ドビュッシーの月光に寄せて」という着想でネクタイを書いていた。あの透明な、ガラスのうすい器のような感じを出そうと、絵具をあれこれまぜながらたのしんでいた時、おはるの母親という人が訪ねて来た。はるばる四国からやって来たというその媼は、おはるに似て不器量だったけれど、落ちついた物腰で田舎に住む人に珍しく品があるようだった。彼女が私に云うのは、おはるに縁談があり、それがとってもいい条件なので一応おはるを引取らせてほしい、相手は郷里の人だが神戸の船工場につとめている人で、きっと神戸に住むと思うからおいそがしい時は又御手伝いに伺わせて頂きます、ということだった。