Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
邪宗縁起
一
十四の乙女久田姫は古い物語を読んでいる。
(……そは許婚ある若き女子のいとも恐ろしき罪なりけり……)
「姫やどうぞ読まないでおくれ。妾聞きたくはないのだよ」
「いいえお姉様お聞き遊ばせよ。これからが面白いのでございますもの。――許婚のある佐久良姫がその許婚を恐ろしいとも思わず恋しい恋しい情男のもとへ忍んで行くところでございますもの」
「姫やどうぞ読まないでおくれ。妾は聞きたくはないのだよ」
「お姉様それでは止めましょうね。……」
姫は静かに書を伏せた。
「ああ、もう今日も日が暮れる。お部屋が大変暗くなった……お姉様灯火を点けましょうか」
「妾はこのような夕暮れが一番気に入っているのだよ……もう少しこのままにしておいておくれ……お前はそうでもなかったねえ」
「お姉様妾は嫌いですの。妾の好きなのはお日様ですの」
「幼い時からそうだったよ。明るい華やかの事ばかりをお前は好いておりましたよ。夏彦様のご気象のようにねえ」
「陰気な事は嫌いですの。このお部屋も嫌いですの。いつも陰気でございますもの。お姉様灯火を点けましょうか」
姉の柵は返辞をしない。