Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
を無言のうちに説明している。
「これこれ紋兵衛殿どうしたものだ。拙者は鏡葉之助でござる。山吹などとは何事でござる。心を確りお持ちなさるがよい」
こう云いながら葉之助は、気の毒そうに苦笑したが、「ははあこれも妖怪の業だな。さてどこから手を付けたものか?」
「何、鏡葉之助殿とな?」
逆立った眼で葉之助を見据え、紋兵衛は瞬ぎもしなかったが、ようやくホッと溜息を吐くと、「人違いであった。山吹ではなかった。そうだあなたは葉之助様だ……が、それにしてもあなたのお顔があの山吹に酷似とは? おお酷似じゃ酷似じゃ! やっぱりお前は山吹だ! 汝どこからやって来たぞ!」
また狂わしくなるのであった。
「殿の命で、城中から」
「いいや違う。そうではあるまい。八ヶ嶽から来たのであろう?」
「殿の命で、城中から」
「嘘だ嘘だ! 嘘に相違ない! 八ヶ嶽の窩人部落! 汝そこから来たのであろう! 怨まば怨め! 祟らば祟れ! 捨てられたが口惜しいか! ……睨むわ睨むわ! おお睨むがいい。俺も睨んでやる俺も睨んでやる!」
血走って眼をカッと開け、紋兵衛は葉之助を睨んだものである。
その時、遥か戸外に当たって咽ぶがような泣くがような哀々たる声が聞こえて来た。