Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「ならぬならぬ、そちに限る」
そこで止むを得ず葉之助は、殿の命に従うことにした。
ご前を下がって行く彼の姿を、じっと見送っていた武士があったが、他ならぬ剣道指南役、客分の松崎清左衛門であった。
「なんと清左衛門、葉之助は、若いに似合わぬ立派な男だな」
駿河守は何気なく云った。
「御意の通りにございます」清左衛門は物憂そうに、
「しかし、いささか、心得ぬ節が。……」
「心得ぬ節? どんな事か?」
「最近にわかに葉之助殿は、器量を上げられてございます」
「いかにもいかにも、あれは奇態だ」
「まことに奇態でございます」
「しかし、元から美少年ではあった」
「ハイ、美少年でございました。それに野性がございました。それも欝々たる殺気を持った恐ろしい野性でございました。飯田や高遠で成長ったとはどうしても思われぬ物凄い野性! で、気の毒とは思いましたが私の門弟に加えますことを、断わったことがございました」
「そういう噂もチラリと聞いた」
「しかるに最近に至りまして、さらにその上へより悪いものが加わりましてございます」
「ふうむ、そうかな? それは何かな?」
「ハイ、妖気でございます」自信ありげに清左衛門は云った。