Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
……こういうと妾を振り切ってズンズン行ってしまったんだよ。誰があの人を騙したって云うの。妾騙しなんかしやしないわ」
彼女の前に誰かいて、その人に訴えてでもいるかのように彼女はいつまでも泣き喋舌っている。
秋の真昼のことであって黄味の勝った陽の光が家の内まで射し込んでいる。家造作は窩人の風俗通り大岩を掘り抜き柱を立てたいわゆる古代穴居族の普通の家造作と同じであったが、杉右衛門は一族の頭領だったので、したがってその住居は特別に広く半分以上は岩窟から外へ喰み出して造られているのであった。
山吹は窩人族の乙女としてはほとんど類なく美しかった。やはり頭領の一人娘だけに衣裳などでも他の娘などより立派な物を着ているので自然引っ立ちもするのであろうが、下界高島の城下における立派な武士の令嬢と云っても充分通る容姿であった。
その美しい山吹が秋陽に半顔を照らしながらシクシク泣いているのであるから、ちょっと形容出来がたいほど可愛らしく見えるのであった。
その時、手近かの林の中から雉笛の音が聞こえて来たが、のっそり草を分けて出て来たのは彼女の弟の牛丸であったが年はおおかた十四ぐらいでもあろうか、ひょいと家の前まで来ると、姉の様子を覗き込んだ。