Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
猛烈の感情を一時に出して山吹は弟を罵った。
「岩さんが何んだ! 岩太郎が何んだよ! 来たら追い出してやるばかりさ!」
「ふん」と牛丸も喧嘩腰になり、「多四郎の奴が来ないうちは岩さんで大騒ぎをしたくせに!」グルリと森の方へ向きを変えたが、「やあもうそこまでやって来た。……妙な人が従いて来るよ……」
山吹も多四郎もそれを聞くと首を差し出して森の方を見た。
「あら、ほんとに岩さんが来る」山吹は周章てて叫んだが、「来たら返してやるばかりだね」
「ははあ、不格好なあの男がそれじゃ岩という男ですな」多四郎は鼻を鳴らしながら、「私の家の庭男にも当たらぬ」
牛丸はさもさも嬉しそうに、「俺ら岩さんを迎いに出てやろう」彼はそとまで走って行った。
「おや」
とにわかに多四郎は不安の様子を現わした。
「何んて恐ろしい顔付きだろう。あの妙な人の顔付きは!」
彼は両掛けを取り上げた。そうして横手の潜り戸から坂の方へパタパタと逃げ出した。
「あら、多四郎さんどうなすったの※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
山吹は驚いて叫んだが、「妾も、妾も、妾も一緒に!」
――周章てて潜り戸から飛び出した。