Japanische Klassiker mit Furigana
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はちがつみっかのゆめ
八月三日の夢
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 八月三日の夢 (はちがつみっかのゆめ) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.827 Zeichen · 12 Bildschirme
今思い出しても、近年にない珍しい夢で、しかも相当長い筋の込んだ夢であった。
八月三日といえば、アメリカ側では、サイパンで人類最初の原子爆弾の試用準備に熱中していた時であろう。北海道にも、頻々たる空襲があって、私は大半研究室のベッドの上で、北国の短い夜を過していた頃のことである。
薄暗い階段教室で、大勢の学生が講義をきいている。教授か学生か、誰かわからないが、針金の先に太いところがありその端が尖っている、それをくるくる廻している。一廻りする間に、二回ずつそれが光る。暗い教室の中で、それがピカリピカリと光るのが印象的である。なるほど南北を向くたびに、地球磁気を感ずるのだなと、一人で合点する。
次ぎ次ぎとそれを手渡して来る。学生は皆若い青年の顔で、どれも外国人である。少し旧い型で、中世向きの顔である。大写しの横顔が、レンブラントの絵のように、暗い中に鼻筋の通ったプロフィルだけが、薄明るく浮き上がっている。同じような顔が二つ重なっている。
教授の姿は見えない。しかし大きい黒板があって、数式が小さい字でいっぱい書いてある。黒板は綺麗に拭われて、真黒である。