Japanische Klassiker mit Furigana
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はっけんでんだんよ
八犬伝談余
内田 魯庵
Lesen Sie 八犬伝談余 (はっけんでんだんよ) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.945 Zeichen · 43 Bildschirme
とあるはその消息を洩らしたもので、口授ではあるが一字一句に血が惨み出している。その続きに「第九輯百七十七回、一顆の智玉、途に一騎の驕将を懲らすといふ一段を五行或は四行の大字にものしぬるに字行もシドロモドロにて且墨の続かぬ処ありて読み難しと云へば其を宅眷に補はせなどしぬるほどに十一月に至りては宛がら雲霧の中に在る如く、又朧月夜に立つに似て一字も書く事得ならずなりぬ」とて、ただ筆硯に不自由するばかりでなく、書画を見ても見えず、僅かに昼夜を弁ずるのみなれば詮方なくて机を退け筆を投げ捨てて嘆息の余りに「ながらふるかひこそなけれ見えずなりし書巻川に猶わたる世は」と詠じたという一節がある。何という凄惻の悲史であろう。同じ操觚に携わるものは涙なしには読む事が出来ない。ちょうどこの百七十七回の中途で文字がシドロモドロとなって何としても自ら書く事が出来なくなったという原稿は、現に早稲田大学の図書館に遺存してこの文豪の悲痛な消息を物語っておる。扇谷定正が水軍全滅し僅かに身を以て遁れてもなお陸上で追い詰められ、漸く助友に助けられて河鯉へ落ち行く条にて、「其馬をしも船に乗せて隊兵――」