Japanische Klassiker mit Furigana
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おおやけのこととわたくしのこと
公のことと私のこと
宮本 百合子
Lesen Sie 公のことと私のこと (おおやけのこととわたくしのこと) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.846 Zeichen · 6 Bildschirme
日本の歴史は、ついきのうまで、深い封建性の雲にとざされておりました。そのために、「公」という字の使いかたが、永年のうちに誤られてしまいました。「公」という字は、官僚的な、役所、「お上」のことめいたものばかりを意味するようになってしまいました。
私という字は、何でも民間のもの、よくてもわるくても公よりは一段力のよわい、社会の立場の低いものと、うけとられるようになりました。
民主的な国で「公衆」というとき、それは個々の「私」が幾千幾万と、より集った、最も実力のある、決定権をもったものとして、見られています。ところが日本ではどうでしょうか。
「公衆食堂」へ農林大臣が食事に行ったという例があったでしょうか。同じ「公」という字でも、それに「衆」という字がついて公衆となると、それは却って一段と低くなった感じで扱われて来ました。
今日のように、日本が民主主義の国になろうとして、新しい出発をしたばかりのときには、「公」という字の感じかたにも、混雑があります。「輿論」というと相当の重みをもって通るのに、「公衆の意見」というと、何だか、その程度をうたがわれるような傾きがあります。