Japanische Klassiker mit Furigana
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へいしとじょゆう
兵士と女優
渡辺 温
Lesen Sie 兵士と女優 (へいしとじょゆう) von 渡辺 温 (わたなべおん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.102 Zeichen · 7 Bildschirme
オング君は戦争から帰って、久し振りで街を歩きました。軒並のハイカラな飾窓の硝子に、日やけして鳶色に光っている顔をうつしてみました。高価なネクタイだのチェッコスロバキヤの硝子細工だのを売る店の様子は戦争に行く前とちっとも変っていませんでした。
「ちょいと、ちょいとってば!」
顔に黄色い粉をはたきつけた派手な様子の娘が、オング君をうしろから呼びとめました。
「おや、ハルちゃんじゃないか。これはよいところで!」オング君は嬉しくなって、そう云いました。
「どうしたの?」と娘は訊きました。
「どうしたのって」――オング君はそこで娘の身なりをよく見ました。「君、いま、ホノルル・カフェにはいないのかい? 僕の手紙見てくれなかったのかい?」
「うん、見た。けれど、ホノルルは夙の昔に辞職しちゃった。知らないのかい?」と娘は云うのです。
「知るもんかさ」
「いやだなあ、ほら、そこのエハガキ屋をごらんなさい。あたしの写真が一っぱい飾ってあるぜ」
「なんだ。キネマの女優になったのか」
「うん。知らないなんて、じゃ、やっぱり戦争に行ってたのは本当だったのね」
娘は大袈裟に首をふって、感心したような溜息を吐きました。