Japanische Klassiker mit Furigana
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じょうだんにころす
冗談に殺す
夢野 久作
Lesen Sie 冗談に殺す (じょうだんにころす) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.462 Zeichen · 29 Bildschirme
私は変に可笑しくなって来た。タッタ今まで妙に狼狽していた自分の姿が、この上もなく滑稽なものに思えて来た。そうして「アハアハアハ」と大声で笑い出してみたいような……「笑ったっていいじゃないか」と怒鳴ってみたいようなフザケた気持になった。
私は鏡の中の自分を軽蔑してやりたくなった……「何だ貴様は」とツバを吐きかけてやりたい衝動で一パイになって来た。そこでモウ一度ポケットからハンカチを出して顔を拭い拭い、そこいらをソット見まわしてから、鏡の中を振り返ると、鏡の中の私も亦、瀬戸物のように、血の気の無い顔をして、私の方をオズオズと見返した……が……やがて突然に、思い出したように、白い歯を露わして、ひややかにアザミ笑った。
私は思わず眼を伏せた。……ゴックリと唾液を呑んだ。
それから一週間ばかり後の或る朝であった。私はいつもの通り朝寝をして、モウ起きようか……どうしようかと思い思い、昨夜新聞社から持って帰った、今日の朝刊を拡げていると、階下の帳場で話している男と女の声が、ゆくりなくも障子越しに聞えて来た。私はその声を聞くと新聞から眼を離した。……ハテ……どこかで聞いたような……と思い思い新聞を見るふりをして聞くともなく聞いていると、それは顔馴染みの警視庁のT刑事と、下宿の女将の話声だった。