Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

めいどこうしんきょく

冥土行進曲

夢野 久作

Lesen Sie 冥土行進曲 (めいどこうしんきょく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.807 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

もうここから先へは一歩も行けない。行けば橋の袂の交番にぶつかる。河岸から小舟を雇っても水上署の眼を逃れる事は出来ない。多分河口には鋭い眼が光っている事であろう。

私は進退谷まった。目的を遂げずに罪人となって町を逍迷った揚句行く先がなくなるとは何という不運な私であろう。

私は悠々と流るる河の水を眺めた。星の光りと、灯の明と入り乱れて夢のように美しい。コンナ時に人間はふいと死ぬ気になるものか……と思いながら……。

「旦那。行きますか」

不意に私の背後で柔和な男のような声がしたので私はびっくりして振返った。美事な流線型の箱自動車が待っている。

私は黙って飛乗ったが、乗ってみると驚いた。運転手は女で、粗い縞の鳥打帽。バックミラー越しにチラリと見えたその下に私と同じの黒色鏡がかかって、ヤモリ色をしているその顔が私をチラリとニッコリと笑った。

「ドチラへ参りましょうか」

「どこでもいい、郊外へ出てくれ」

「エッ郊外……」

女運転手が可愛い眉をひそめた。どこかで見たような女だとは思ったが、この時はどうしても思い出せなかった。

「郊外は駄目なのかい」

「いいえ。何ですか、きょうは銀座で騒ぎがありましたのでね。