Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ふゆのしぶき
冬のしぶき
伊藤 信二
Lesen Sie 冬のしぶき (ふゆのしぶき) von 伊藤 信二 (いとうしんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 408 Zeichen · 1 Bildschirme
お前が工場の帰りに買ってきてくれた
この櫛は
もう あっちこっち 歯がこぼれた
梳いたヌケ毛の一本一本は
お前がオッカサンとよばってくれる
その日がまためぐってくる年月のながさを
ヒトツキ フタツキ と
かぞえさせる
お前からの夏のタヨリを
帯にはさんでいる――
六十二にもなったわたしのふしぶしは
ズキン ズキン ズキン
凍れにたたかれて
ヒビがひろがってゆく
お前がアバシリの
刑務所におくられてから二年と四ヵ月
くる年々の冬のはじまりから
ほほッぺたのまるっこいお前の写真を
霜焼けに疼く指先にささえて
炉ばたの隅で
あッためてやってるたんびに
わたしの
薄くなったマツ毛は濡れて
ああ どんなにか
本当のお前に会いたいことか
正直なわたしのセガレ
ウソやゴマカシでは
ゴハンをたべれなかったお前
豆腐汁の好きだったお前の
お椀の上でのほほえみが
今もわたしに
――ふるえる ふるえる
コブシをにぎらせる
(『プロレタリア文学』一九三二年一月創刊号に発表)