Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふゆのはなび

冬の花火

太宰 治

Lesen Sie 冬の花火 (ふゆのはなび) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.986 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

数枝さん、あなたは覚えていますか、忘れたでしょうね、あなたが、女学校を卒業して東京の学校へいらっしゃる時、あの頃はちょうど雪溶けの季節で路がひどく悪くて、私があなたの行李を背負って、あなたのお母さんと三人、浪岡の駅まで歩いて行きました。路傍にはもう蕗の薹などが芽を出していました。あなたは歩きながら、山辺も野辺も春の霞、小川は囁き、桃の莟ゆるむ、という唱歌をうたって。

(数枝) ゆるむじゃないわよ。桃の莟うるむ。潤むだったわ。

(清蔵) そうでしたか。やっぱり、あの頃の事を覚えていらっしゃるのですね。それから、私たちは浪岡の駅に着いて、まだ時間がかなりあったので、私たちは駅の待合室のベンチに腰かけてお弁当をひらきました。その時、あなたのお弁当のおかずは卵焼きと金平牛蒡で、私の持って来たお弁当のおかずは、筋子の粕漬と、玉葱の煮たのでした。あなたは、私の粕漬の筋子を食べたいと言って、私に卵焼きと金平牛蒡をよこして、そうして私の筋子と玉葱の煮たのを、あなたが食べてしまいました。私もあなたの卵焼きと金平牛蒡を食べて、なんだかもうこれで、私たち二人の血がかよい合ったような気が致しました。