Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
とううん
凍雲
矢田 津世子
Lesen Sie 凍雲 (とううん) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.121 Zeichen · 29 Bildschirme
途方にくれているようにみえた。
「何してる!」
仙太は怒鳴った。そして、腰から笹に掩われて、凝っと立ち停っていた。
松林が、ごう、と鳴った。雲が威嚇するように頭の上にひろがってきた。鴉が麓のほうへ急ぎ飛んだ。
犬は尻尾を垂れて藪から道へ出た。身ぶるいをしながら、とっとと坂を駈け登って行った。
仙太は朝日を啣えたまま、未だ同じところに立って考えに沈んでいた。
「黒じゃねえか、吃驚させるない」
松林の向うで声がした。犬と一緒に古川町の先生が降りて来た。ざくざく、と石ころが鳴った。
「仙太さん、獲物あったかい?」
仙太は黙って、辞儀をした。
「何撃ちにきた?」
「わしですか。何撃ちにきたか分らねえです」
「こんな天気だからな、蕈こ取りにも会わねえして……。お父さん、家かい?」
先生は手の甲で赤髭を撫でた。
「相変らずでして。寝てる間も起きてる間も、算盤玉こばかりはじいていますて」
仙太の父親は、油商売のほかに、高利で金を貸付けていた。
「算盤玉こもええが、お前のことにも困ったもんだな」
仙太は藪を出て、先生のあとから道を下って行った。黒は早足で二三間さきを急いでいた。