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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

Lesen Sie 凡人伝 (ぼんじんでん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.944 Zeichen · 202 Bildschirme

Aozora Bunko

実際だよ。これは材料豊富だから書けるぜ」

と安部君は共鳴するばかりで、何処までも自分の「おれ」を別にしている。

ナポレオン志望者は実に多い。各人皆それだ。これは後世どころか、現在に於いて友達を益することが出来る。万人悉く在来の偉人伝に誤られている。

「世界は多数のナポレオンを要しない。見よ。欧羅巴は一つしかないではないか? よし。おれが解毒剤を拵えてやる」

と私はイヨ/\決心を固めて、家へ帰りつくと早々、

「操や、おれは小説を書くよ」

と発表した。

「はあ?」

「小説を書く」

「あなたが? まあ! 馬鹿々々しい。オホヽヽヽヽヽヽ」

と妻は忽ち笑い出した。ひどい奴だ。私を唯の凡人と思っている。おっと、口が辷った。

「凡人伝なるかな! 凡人伝なるかな!」

「この間から能くそれを仰有いますのね」

「これは神さまの直伝だ」

「厭でございますよ、私」

「何だい?」

「その上、小説を書くなんて仰有られると、心配でなりませんわ」

「何故?」

「些っと何うかしていらっしゃるんじゃなかろうかと思って」

「人を馬鹿にするな。小説を書くと言えば何うかしているのか?」

「でも、人によりけりですわ。あなたはABCの先生じゃありませんか?」