Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
Lesen Sie 凡人伝 (ぼんじんでん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.944 Zeichen · 202 Bildschirme
私は早速学園を訪れた。しかし暑中休暇のことで、先生は誰もいなかった。小使の音さんが、
「河原さん、あなたは大層な御出世だそうですね」
と祝してくれた。
「何あに、一向駄目だよ」
「俺は先生じゃないが、妙なもので、長年手がけている所為か、大抵見当がつきますよ」
「何の?」
「この人は物になるだろうか何うだろうかってことが生徒さんの時から分りますよ」
「天眼通だね」
「恐ろしいものですよ。例えば、あなたの級の赤羽さんですね。あゝいう人は迚も駄目です」
「何故?」
「人間に締りがありません。手拭ばかりでなく褌まで忘れて行くんですからね」
「何処へ?」
「風呂場へですよ」
「はゝあ」
「褌を忘れて行く人で物になった人は未だ一人もありません」
「妙な統計だね」
と私は神戸駅頭の赤羽君を思い出した。
「赤羽さんは三十本から忘れました。皆、私が貰って使っています」
「ハッハヽヽヽ」
「もう一人、赤羽さんの相棒がありましたね?」
「野崎かい?」
「へえ」
「彼奴も忘れたかい?」
「いや、あの人はあゝ見えてシッカリものですけれど、先がありませんな」
「何故?」
「此間お出になりましたよ。立派な服装をして来ましたが、あれじゃ迚も物になるまいと思いました」