Japanische Klassiker mit Furigana
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おとめのきとアブ・サルガ
処女の木とアブ・サルガ
野上 豊一郎
Lesen Sie 処女の木とアブ・サルガ (おとめのきとアブ・サルガ) von 野上 豊一郎 (のがみとよいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.098 Zeichen · 20 Bildschirme
そこで最後の石段の上にこごんだまま奥の方をすかして見ると、広さは三間半に二間半もあろうか、割合に小さいクリプトで、丁度上の内陣の真下にあたり、大きな円柱が幾つも立っていて、下の方は水に浸ってるのが、水がどんよりと暗く湛えて泥地の如く見えるので、円柱がいやに短いような印象を与えた。その円柱は本陣と側堂の仕切になっていて、つきあたりの正面が祭壇だが、それは初期の地下塋窟の見本ともいうべき壁龕になってるらしく、其処にマリアと赤ん坊のキリストは起臥していた。というよりは、その片隅に聖母子の起臥していた中庭を後でクリプトの形に改修したのであろう。カイロの町の古い部分の市場へ行って見ると今も見られるが、カーンといって内庭を持った二階建の倉庫風の宿屋がある。昔はその内庭に夜になると家畜を追い込んだが、宿屋に泊れない人間はその片隅に寝せて貰う習慣があった。エジプトからパレスティナへかけてそうだった。マリアとヨセフがベトレヘムの牛小屋に泊っていたというのもそういう場所であっただろうし、エジプトへ来て、バビロンのカーンの片隅に夜露を避けていたというのもそういう事情からであっただろう。