Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅっぽん
出奔
伊藤 野枝
Lesen Sie 出奔 (しゅっぽん) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.423 Zeichen · 13 Bildschirme
ふだんのまんま家を逃げ出して来たのよ、すぐにね東京へ引き返して行こうと思ったんですけれど少し考えることがあってあなたの所へ来たの。長いことはないのだから置かして頂戴な」
ようやくこれだけいい出したのは冷たい床の中に二人してはいってから、よほどいろんなことを話して後だった。
「まあそう、だけどどうして黙ってなんか出てきたの、どんな事情で。さしつかえがないのなら話してね、私の所へなんかいつまでいてもいいことよ、いつまでもいらっしゃい、あなたがあきるまで――でも本当にどうして出てきたの」
「いずれ話してよ、でも今夜は御免なさいね、ずいぶん長い話なんですもの」
「そう、それじゃ今にゆっくり聞きましょう、あなたのいたいだけいらっしゃい。ほんとに心配しなくてもいいわ」
「ありがとう。安心したわ、ほんとにうれしい」
こうした会話をかわしたきりに登志子は、一週間たつ今日までそのことについては何にも話さなかった。何にもかまわずぶちまけてしまうような性質な登志子が、話しにくそうな風なのでもって志保子はよほど大事なことだろうと思って強いてそれを聞くのを急ぎもしなかった。「今に時が来たら話すだろう」