Japanische Klassiker mit Furigana
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しょか(せんきゅうひゃくにじゅうにねん)
初夏(一九二二年)
宮本 百合子
Lesen Sie 初夏(一九二二年) (しょか(せんきゅうひゃくにじゅうにねん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.549 Zeichen · 8 Bildschirme
ああ 淋しい生活!
昔、娘であったとき
彼を恋わぬ前
自分は
このように寥しい生活が
此世にあると思っただろうか。
何が、貴方の心をそんなに閉すのか
どうぞ さっぱりと云っては下さらぬか
云い知れぬ不満や不快が
家に満ち 我心をくい
なやませる。
私は、楽しい晴々した生活がしたい。
我心に満ちる愛やまごころを思えば
それの与えられぬのが不思議に思う。
彼と云う、我ただ一人の愛しい人は
私に、ひたすら、涙を流させるために
私の前に現れたのか
涙
ながれちるわが涙
どこにそそごう――
私の愛す人の胸は遠くかたく
涙にとけるとも思えない。
ああ わが涙――
歎くまい。私はひとりささやかな
我芸術の花園に
此 水のしずくを送ろう。
土が柔らかなら花床よ
私の涙をしっとりと吸い
優い芽をめぐませて呉れ
花も咲くように――
涙はあまり からくないか。――
*
彼ゆえに
幾千度
ながす わが涙ぞ。
なまじいに
逢わざらましを。
七月十二日
夕暮五時の斜光
静かに 原稿紙の上におちて
わが 心を誘う。――
純白な紙、やさしい点線のケイの中に
何を書かせようと希うのか
深みゆく思い、快よき智の膨張
私は 新らしい仕事にかかる前