Japanische Klassiker mit Furigana
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はつつぼみ
初蕾
山本 周五郎
Lesen Sie 初蕾 (はつつぼみ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.525 Zeichen · 35 Bildschirme
朝食のあとで、良左衛門は自分から名主の家にゆき、捨て児のあったことを告げ、乳呑み児のある家がないかどうか訊ねた。
「お育てなさるのでございますか」
と名主の老人は気遣わしげに首を傾げたが、幸わい半年ほどの乳があるから、ともかくあとから伴れてまいりましょうと答えた。……老人はすぐに若い百姓の女房を伴れて来た、喉をならして吸い付く顔を見ながら、若い女房はその児の親を詛うように云って涙ぐんだ。このあいだに良左衛門は名主とたちあいで臍の緒書をあけてみ、宝暦四年六月某日誕生、名は松太郎ということをたしかめた、姓も親の名もないのは、生んだとき既に、手許に置けない事情があったのであろう、それなら不仕合せな過去と縁を切る意味で名を変えるほうがよいと思い、良左衛門は改めて小太郎と呼ぶことにした。
百姓の女房は四五日せっせとかよって来て呉れた。このあいだに良左衛門は城下の島屋へ使を遣り、あらましの事情を書いて適当な乳母の世話を頼んだ。喜右衛門は五日めに、まだ娘のようにうら若い女をつれてやって来たが、しかしずいぶん気まぐれなことだと、笑いながら意見を云った。
「こういうことはとかく末のうまくゆかぬものです、おやめなさるが宜しくはございませんか」