Japanische Klassiker mit Furigana
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はつつぼみ
初蕾
山本 周五郎
Lesen Sie 初蕾 (はつつぼみ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.525 Zeichen · 35 Bildschirme
太市は客の残りものを食べた中毒で、烈しい吐瀉を続けながら医者にもかけることができず、僅か五日ばかりで骨のように痩せて死んだ。母はそのまえから脚気を病み、蒼くむくんだ顔をして、肩で息をしながら足を曳ずるように歩くという風だった。太市が死んでから眼立って弱り、薪ひとたば持つのも苦しそうだったが、宿の者に気づかれるのを恐れて、倒れるまで達者なように装おいとおした。母が倒れたきり動けなくなると、宿の主婦はお民に奉公へ出ろと云いだした。藤屋の主人の妹が、宿屋街の地はずれで「ふじむら」という小料理茶屋をやっていた、そこで小女が要るからゆけという、――どうせおまえの働くくらいじゃおっつかないが、あとは私が足しまえにしておっ母さんの面倒はみてあげると、それが気にいらなければおっ母さんを伴れて好きな処へ出ていってお呉れ。
宿の主婦ははっきりとこう云った。お民はおっ母さんの側にいたかった、自分で看病がしたいし、なにより側を離れるのが厭だった、けれどもそこを追出されれば、母を抱えて乞食でもする他はない、十三になったばかりのお民は、それでも母には笑ってみせ、近いから毎日でも来られると慰さめて、ふじむらへ奉公に出たのである。