Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

斯うして、浮々としていて、自分の行末は何うなるというのであろう?」と、そんなことを取留めもなく考え込んで、もちっとで電車の乗換え場を行き過ぎる処であった。心柄とはいいながら、夜風に吹き曝されて、私は眼頭に涙を潤ませて帰った。

それでも少しは、何かせねばならぬこともあって、二三日間を置いてまた行った。私は電車に乗っている間が毎時も待遠しかった。そういう時には時間の経つのを忘れているように面白い雑誌か何か持って乗った。

その時は三四時間も待たされた。――此間の晩もあるのに、あんまり来ようが遅いから、来たら些と口説を言ってやろう、それでも最う来るだろうから、一つ寝入った風をしていてやれ、と夜着の襟に顔を隠して自分から寝た気になっても見る。するとそれも、ものの十分間とは我慢しきれないで、またしても顔を出して何度見直したか知れない雑誌を繰披いて見たり、好きもせぬ煙草を無闇に吹かしたり、独りで焦れたり、嬉しがったり、浮かれたりしていた。

火鉢の佐倉炭が、段々真赤に円くなって、冬の夜ながらも、室の中は湿とりとしている。煙草の烟で上の方はぼんやりと淡青くなって、黒の勝った新らしい模様の友禅メリンスの小さい幕を被せた電灯が朧ろに霞んで見える。