Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

』と言って、煙管で撲つ、ビールの空瓶で打つ、煙草盆を投げ付ける。……その煙草盆を投げ付けた時であった。その時の傷がまだ残っているんです。此処に小い痣が出来ているでしょう。痣なんか、私にゃありゃしなかった。」と、言って、白い顔の柔和な眉毛の下を遺恨のあるように、軽く指尖で抑えて見せた。それは、あるか、無いかの淡青い痣の痕であった。

私は黙ってお宮の言うのを聞きながら、静と其の姿態を見戍って、成程段々聞いていれば、何うも賢い女だ。標致だって、他人には何うだか、自分にはまず気に入った。これが、まだそんな十七や八の若い身で元は皆心がらとはいいながら、男の為に、真実にそういう所帯の苦労をしたかと思えば、唯いじらしくもある。自分で気にするほどでもないが、痣の痕を見れば、寧そ其れがしおらしくも見える。私は、「おゝ」と言って抱いてやりたい気になって、

「ふむ……それは感心なことだが、併しそれほど心掛の好い人が何うして、とゞの詰り斯ういう処へ来るようになったんだろうねえ?」

と、またころりと横になりながら、心からそう思って、余りうるさく訊くのも、却って女の痛心に対して察しの無いことだから、さも余処の女のことのように言ってまたしても斯う尋ねて見た。