Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

「本当に、一寸だったなあ。……そういうようなのが果敢き縁というのだなあ!」

と、私の心を咏歎するように言った。私もそれにつれて、少しじめ/\した心地になって、唯、

「うむ!」と言っていると、

「本当にいなくなるか知らん? そういうような奴は屡くあるんだが、其様なことを言っても、なか/\急に何処へも行きゃしないって。……そうかと思っていると、まだ居ると思った奴が、此度行って見ると、もういなくなっている、なんて言うことは屡くあることなんだから。」と、長田は自分の従来の経験から割り出したことは確だと、いうように一寸首を傾けて、キッとした顔をしながら半分は独言のように言った。

私は、凝乎と、その言葉を聞きながら顔色を見ていると、

「その内是非一つ行って見てやろう。」という心が歴々と見える。

「或はそうかも知れない。」と私はそれに応じて答えた。

暫時そんなことを話していたが、長田は忙しそうであったから、早く出て戻った。

自家に戻ると、日の短い最中だから、四時頃からもう暗くなったが、何をする気にもなれず、また矢張り机に凭って掌に額を支えたまゝ静としていると、段々気が滅入り込むようで、何か確乎としたものにでも執り付いていなければ、何処かへ奪われて行きそうだ。