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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひみつ

刺青・秘密

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 刺青・秘密 (ひみつ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.935 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

私はしょざいなさに一本の電信柱を追い越すと、今度は次の電信柱を目標にして、一本、二本、三本、………と云う風に数えながら歩いて行くのであった。

三十本、三十一本、三十二本、………五十六本、五十七本、五十八本、………こう云うようにして、私が多分七十本目の電信柱を数えた時分であったろう、遠い街道の彼方に始めて一点の灯影が、ぽつりと見え出したのである。自然と私の目標は電信柱からその灯の方へ転じたが、灯は幾度か松並木の間にちらちらと隠れては又現れる。灯と私との間隔は電信柱の数にして十本ぐらい離れて居るらしく思われたけれど、歩いて見るとなかなかそんなに近くではない。十本どころか、二十本目の柱を追い越しても、灯は依然として遠くの方でちらちらして居る。提灯の火ほどの明るさで、じっと一つ所に停滞して居るようであるが、しかし或は私と同じ方角に向って同じような速力で一直線に動きつつあるのかも知れない。………

私が、ようようその灯のある所から半町ほど手前までやって来たのは、それから何分ぐらい、或は何十分ぐらい後であったろう。提灯の明るさほどに鈍く見えて居たその光は、やがてだんだん強く鮮かになって、その附近の街道の闇を昼間のようにハッキリと照して居る。