Japanische Klassiker mit Furigana
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こくこく
刻々
宮本 百合子
Lesen Sie 刻々 (こくこく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.401 Zeichen · 73 Bildschirme
低空飛行をやっていると見えて、プロペラの轟音は焙りつけるように強く空気を顫わし、いかにも悠々その辺を旋回している気勢だ。
私は我知らず頭をあげ、文明の徴証である飛行機の爆音に耳を傾けた。快晴の天気を語るように、留置場入口のガラス戸にペンキ屋の看板の一部がクッキリ映り、相川と大きな左文字が読めている。姿は見えず、飛行機の音だけを聞くのは特別な感じであった。しかも留置場内は、いつもどおり薄らさむくしーんとしている。鉄格子の中の板の間では半裸で、垢まびれの皮膚に拷問の傷をもって、飛行機の爆音の下で虱狩りをしている。――
帝国主義文明というものの野蛮さ、偽瞞、抑圧がかくもまざまざとした絵で自分を打ったことはない。自分は覚えず心にインド! 印度だ、と叫んだ。インドでも、裸で裸足の人民の上に、やはり飛行機がとんでいる。人民の無権利の上に、こうやって飛行機だけはとんでいるのだ。革命的な労働者、農民、朝鮮、台湾人にとって、飛行機は何をやったか?(台湾霧社の土人は飛行機から陸軍最新製造の爆弾と毒ガスを撒かれ殺戮された。)
猶も高く低く爆音の尾を引っぱってとんでいるわれわれのものでない飛行機。