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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜんさいのかいい

前妻の怪異

田中 貢太郎

Lesen Sie 前妻の怪異 (ぜんさいのかいい) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.748 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

そこには前夜後妻の見たままの前妻の姿があった。凄い眼で児を見まもって、何かを掴み取ろうとするようにしているのは、児を抱き取ろうとしているところであろう。

「おみよ」

青年は前妻の名を云ったが、揮りむきもしなかった。

「おみよ、心配しないで往ってくれ、あれが児を大事にしてくれることはおまえにも判ってるだろう、それをおまえが来ては、あれが怕がる」

それでも前妻はまじろぎ一つしなかった。青年は諦めて外へ出たが、払暁になって一人で往ってみると何もなかった。後妻も一人の時には何もなかった。後妻はそれ以後、寝室にも茶室にも児のいるところに、前妻がつき纏っているような気がするのであった。

二人はそこでその家を引越すことにしたが、恰好の家がなかなか見つからなかった。二人がそれでいらいらしている時であった。それは某夜のことであったが、その当時はまだ電灯の往きわたっていない時で、二人は吊洋灯の傍で児の対手になっていた。

児は無邪気であった。児はふざけるだけふざけた。そして、何かの機会に飛びあがったところで、低く釣してあった洋灯を頭で突きあげた。洋灯はひっくりかえるとともに、石油に引火して四辺が火になった。