Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょう
剣侠
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠 (けんきょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.961 Zeichen · 310 Bildschirme
た。
往来に向いた部屋へ通された。
旅装を解いて先ずくつろぎ、出された茶で口を濡らしている時、
「馬大尽がお通りになる」と口々に囃す声が聞こえてきた。
(馬大尽とは何だろう?)
こう思って主水は障子を開け、――部屋は二階にあったので、欄干越しに往来を見た。
一挺の駕籠を取り巻いて、博徒らしい五人の荒くれ男と、博労らしい四人の男とが、傍若無人に肩で風切り、往来の左右に佇んで、一種怖そうに一種好奇的に、この一団を眺めながら、噂している宿の人々の前を、東の方へ通って行くのが見られた。
と、その中に深編笠をかむり、黒塗りの大小を閂に差し、無紋の羽織を一着した、浪人らしい一人の武士が、警護するように駕籠に引添い、悠々とした足どりで歩いていた。
(はてな?)と主水は眼を見張った。
(陣十郎に似ているようだが?)
笠をかむっているので顔は見えず、そう思った時には通り過ぎていて、背後姿しか見えなかったので、確めることは出来なかったが、気にかかってならなかった。
「澄江、おいで、あれをご覧」
「はい、何でございますか」
脱ぎすてた衣装を畳んでいた澄江は、そう云い云い立って来た。