Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょう
剣侠
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠 (けんきょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.961 Zeichen · 310 Bildschirme
「いかにも俺は逸見先生から、剣術を仕込まれてはいるけれど、聞けばどうしてお前さんこそ、剣道にかけては鬼神と呼ばれる、秋山要介先生から、極意を授かっているとのこと。とても俺など敵いそうもない。まあまあ試合はお預けとしようよ」
「それじゃア何かな……」と林蔵は、少し急き込み進み出た。
「勝負はしねえとこういうのか?」
「そうさ、勝負は、いずれその中、盆蓙の上でするとしよう」
「ほほうそれじゃア博奕打は、盆蓙の上で勝ちさえすりゃア真剣勝負には及ばねえと、こうお前さんは云いなさるのか」
「まあそういったところだろう。無職渡世の俺らには、何より賽コロの勝負が大事、刃物三昧は二の次さ」
猪之松は冷やかに云い放し、口をゆがめて嘲るように笑った。
林蔵はいよいよ急き立ったが、グッと抑えてこれも嘲笑し、
「そうかお前さんがそういうふうなら、真剣勝負は止めにしよう。がその代り今日これから、高萩の猪之松は渡世に似合わず、刃物を恐れる卑怯者、赤尾林蔵の手並に怯え真剣勝負を拒断ったわと、関東一円触れ廻っても、決して苦情は云うまいぞよ」
云いすてるとペッと唾を吐き、グルリと猪之松へ背中を向け、街道を赤尾村の方へ歩き出した。