Japanische Klassiker mit Furigana
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そうせいき
創生記
Lesen Sie 創生記 (そうせいき) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.374 Zeichen · 24 Bildschirme
、それでも母の如きお慈悲の笑顔わすれず、きゅっと抓んだしんこ細工のような小さい鼻の尖端、涙からまって唐辛子のように真赤に燃え、絨毯のうえをのろのろ這って歩いて、先刻マダムの投げ捨てたどっさり金銀かなめのもの、にやにや薄笑いしながら拾い集めて居る十八歳、寅の年生れの美丈夫、ふとマダムの顔を盗み見て、ものの美事の唐辛子、少年、わあっと歓声、やあ、マダムの鼻は豚のちんちん。
可愛そうなマダム。いずれが真珠、いずれが豚、つくづく主客てんとうして、今は、やけくそ、お嫁入り当時の髪飾り、かの白痴にちかき情人の写真しのばせ在りしロケットさえも、バンドの金具のはて迄。すっからかん。与えるに、ものなき時は、安(とだけ書いて、ふと他のこと考えて、六十秒もかからなかった筈なれども、放心の夢さめてはっと原稿用紙に立ちかえり書きつづけようとしてはたと停とん、安というこの一字、いったい何を書こうとしていたのか、三つになったばかりの早春死んだ女児の、みめ麗わしく心もやさしく、釣糸噛み切って逃げたなまずは呑舟の魚くらいにも見えるとか、忘却の淵に引きずり込まれた五、六行の言葉、たいへん重大のキイノオト。