Japanische Klassiker mit Furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lesen Sie 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.262 Zeichen · 243 Bildschirme
「僕ですか?」
「いや、市岡さんです」
「結構です」
と僕は念を入れた。かなり要領よくやった積りだから自信がある。仲人は引き立て役だ。此方が評判を取ってしまうと、菊太郎君が差支える。
「稀に見る秀才らしいと主人公が仰有るんです。無論調子を合せて置きましたが、市※さんの若旦那はそんなに豪い学者ですか?」
「そんなことは?」
「入院している間も学問の講釈ばかりしていたって話です。これも相槌を打って、その辺は金子さんあたりと違いますとあなたにケチをつけましたが、臨機応変の処置ですから、勘弁して下さい。しかし本当ですか? 病院で講義をしたってのは」
「脳症を起したんですよ。他に芸のない男ですから、譫言に学校の講義のノートを口走ったんでしょう」
「はゝあ。矢っ張り違います」
「試験が済んだ直ぐ後でしたから、試験勉強の出し殻が頭の中に残っていたんです」
「それにしても豪いものですよ。実は僕もチブスをやって脳症を起したことがあるんですが、肚に学問のないものは仕方ありません。飛んでもない譫言を言ってしまいました。芸者の名前ばかり口走ったそうで、後から女房に散々油を取られましたよ」