Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうぶごと
勝負事
菊池 寛
Lesen Sie 勝負事 (しょうぶごと) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.952 Zeichen · 8 Bildschirme
父も母も、頭から蒲団を被っていましたものの、私の声が彼らの胸にひしひしと応えていたことはもちろんです。私が、一時間近くも、旅行にやってくれない恨みをくどくどといい続けた時でしょう。今まで寝入ったように黙っていた父が、急にむっくりと床の中で起き直ると、蒲団の中から顔を出して、私の方をじっと見ました。
私は、あんまりいい過ぎたので、父の方があべこべに怒鳴り始めるのではないかと、内心びくびくものでいましたが、父の顔は怒っているというよりも、むしろ悲しんでいるといったような顔付でありました。涙さえ浮んでいるのではないかと思うような目付をしていました。
『やってやりたいのは山々じゃ。わしも、お前に人並のことは、させてやりたいのは山々じゃ。が、貧乏でどうにもしようがないんじゃ。わしを恨むなよ。恨むのなら、お前のお祖父さんを恨むがええ。御厩では一番の石持といわれた家がこんなになったのも、皆お祖父さんがしたのじゃ。お前のお祖父さんが勝負事で一文なしになってしもうたんじゃ』と、いうと、父はすべての弁解をしてしまったように、くるりと向うを向いて、蒲団を頭から被ってしまいました。