Japanische Klassiker mit Furigana
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きたへいく
北へ行く
宮本 百合子
Lesen Sie 北へ行く (きたへいく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.235 Zeichen · 3 Bildschirme
「支那、大分騒いでいるらしいが――どう云うんだっぺえな――政党争いみたいなもんだっぺえか」
彼はつづけて質問的に云ったが、大学生達の居心地わるそうな、尻ごみした態度が明かになるだけで、一人が、
「さあ」
と曖昧に薄笑いしたぎり、必要な答えは与えない。傍でそれを観ると、やや老いかけた農夫の方が、生活力の素朴な感じの点で、青年である大学生よりずっと青年らしくあった。恐らく知識慾の上でも職業学生より、彼が活溌なのではあるまいか? そのような感情をもって観ていると、人のよい農夫は、自分の農夫であることや、無智であることを自覚し、学生に対して常にひかえ目であるのだが、どうしても衷心からの動きを制しかねた風で半ば独言のように云った。
「それでもはあ、民衆一体の仕合わせを目あてにしてやっているちゅうのは嘘でなかっぺえな――支那の奴等も目醒めて来たんだない」
目醒めて来たとは、ブラボー! 何と目醒めた爺さんであることよ。私は思わず破顔しその予想もしない斬新な表現で一層照された二人の学生の近代人的神経質さにも微笑した。然し――私は堅い三等のベンチの上で揺られながら考えた。