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Japanische Klassiker mit Furigana

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きただけとあさひだけ

北岳と朝日岳

木暮 理太郎

Lesen Sie 北岳と朝日岳 (きただけとあさひだけ) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.121 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

当時携帯していた地図は、例の輯製二十万分の一の図で、登山には全く役に立たないことが多い許りか、時には大に迷惑することがあったにも拘らず、他に良地図がないから止むなく用いていたのである。其頃農商務省地質局から兎に角実際に測量した地形図の発行されていることなどは少しも知らなかった。

乗鞍岳の後には、三峰駢立して、恰も穂先が三つに分れた槍のように、鋭く天を刺している山がある。山骨稜々たる岩山であることは、遠目にも判然と認められた。山肌に喰い込んだ雪がきらきらと光っている。これは槍ヶ岳に相違あるまいと断定したが、三峰の中の左が槍で中央が奥穂高、右が前穂高であることは知る由もなく、一座の槍ヶ岳が峰頭三岐したものと考えていた。これが後になって穂高登山の機会を逸せしめた一の原因となったのは是非ないことである。槍ヶ岳の右にも亦左にも、肩から上を抜き出している高い山の幾つかが見られたが、どれも名を知らない山ばかりである。

転じて東を眺めると、長大な連嶺が横一文字にすうと眉を圧して聳えている。高さはここより低いようであるが、これは又何と長いことか、掻き退けたいような胸苦しい圧迫を感ずる。