Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 290.735 Zeichen · 566 Bildschirme
ローマの婦女ことごとくその真似もならず、香具師の工夫で驢乳を脂で固めて鬢附油ごとき板とし売った。タヴェルニエー説に、東欧のノガイ人は馬肉や馬脂を熱して金創に傅け、神効ありというと。ローマ帝国の盛時興奮剤として最も尊ばれたヒッポマネス(馬狂うの義)は、考古学者も科学者も鋭意して研究すれど今にその詳を知り得ぬ。去年英国の碩学から東洋にもかかる物ありやと問われ、種々調べたが手懸りだに見出さぬ。古書に載ったヒッポマネスに二様あり。一は牝馬春を思う際身分より出づる粘液を採り、呪を誦しながら諸霊草と和し薬となすものだ。ヴィルギリウスの『詠農』巻の三に、春色駘蕩たる日牝馬慾火に身を焼かれ、高い岩に飛び上がり西に向って軟風を吸う、奇なるかなかくして馬が風のために孕まさるる事しばしばあり、爾時牝馬狂い出し、巌高く湍速く谷深きを物ともせず飛び越え跳び越え駈け廻る、この時ヒッポマネス馬身より流れ出づという。パウサニアスの『希臘廻覧記』五巻二七章に曰く、オリンピア廟へフォルミス・メナリウスが献納した、二つの鍮金製の牝馬像のその一に術士が魔力を附けた。因って春日に限らず何日何時どんな牡馬でもこの像を見さえすればたちまち発狂し、を切り主に離れこの像に飛び懸りてやまず、あたかもかねて識った美麗の牝馬に再会したようで、烈しく鞭うつなど