Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.906 Zeichen · 495 Bildschirme
十二支考
「張り交ぜの屏風ひつじの五目飯」てふ川柳がある。この米高また紙高の時節に羊に関する雑談などを筆するは真に張り交ぜ屏風を造って羊に食わすほど紙潰しな業と思えど、既に六、七年続き来った『太陽』の十二獣談を今更中絶も如何と、流行感冒の病み上りでふらつく頭脳で思い付き次第に書き出す。
既に米高と言ったから、米高がかった話より初めよう。昔スウェーデン大凶年で饑飢免るべからずと知れた時、国民会議してすべての老人と病人を殺し、せめては少壮者を全く存せんと決したが、国王かかる残虐を行うに忍びず、念のために神慮を伺うた。神託宣していわく、もしこの国に年若く姿貌端正にして智慮に富み、足で歩まず、馬に騎らず、車に乗らず、日中でなく、夜中でなく、月の前半でも後半でもなく、衣を著ず、また裸にもあらず、かくてシグツナの王宮に詣り得る美なる素女あらば、その女こそ目前差し迫った大禍難を無事に避くべき妙計を出し得べけれと。
爾時ヴェンガイン村に一素女あり、ジサと名づく、貞操堅固、儀容挺特、挙世無双だった。数千の無辜の民を助けたさに左思右考して神託通りにこの難題を見事遣って退けた。