Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
お小夜はというに十数日前から、潮湯治に江戸からやって来た、筒井屋助左衛門という商人の娘で、年は十九だと云うことであったが、それよりは老けているようであった。珠太郎の家の夏別荘が、大野にあってその別荘へ、珠太郎は潮湯治にやって来ていた。浜で再々お小夜と逢った。並々ならぬその美貌と、洗い上げた江戸前の姿とが、珠太郎を魅さないでは置かなかった。で二人は恋仲となった。
珠太郎は名古屋という退嬰的の都会の、老舗の丸田屋の箱入り息子なので、初心で純情で信じ易かった。お小夜の性質はそれとは異って、計画的のところがあった。何かを珠太郎に対してたくらんでいる――と云ったようなところがあった。
「江戸へ行きましょう」と云い出したのは、珠太郎でなくてお小夜であった。駈け落ちをしようと云い出したのである。
最初珠太郎は顫えたいほどにも恐れた。でもいつの間にか従うようになった。
今宵などはお小夜に「いつ?」と訊かれて「いつでも」と云うほどになっていた。
夏別荘には相違なかったが、大家の丸田屋の別荘なので、お屋敷と云ってもよいほどに、大きくもあれば立派でもあった。
今二人が媾曳をしている、裏庭なども林かのように、茂っていた木々によって蔽われていた。