Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
嘉三と呼ばれたその男は、そう云われても頑強に、頭領がいると叫ぶのであった。
「いえ血迷いは致しませぬ。この眼で見たのでございます」
「そうか」ととうとう十平太も不審の小首を傾げるようになった。と、見て取った手下どもは一時にゾッと身顫いをした。迷信深い賊の常として、幽霊を連想したのであった。
十平太は腕を組んでしばらく考えに沈んでいたが、バラリ腕を解くと歩き出した。
「よろしい、行って確かめてやろうぞ」
胴の間の頭領の部屋は、諸国の珍器で飾られていた。
印度産の黒檀の卓子。波斯織りの花毛氈。アフガニスタンの絹窓掛け。サクソンの時計。支那の硯。インカ帝国から伝わった黄金作りの太刀や甲。朝鮮の人参は袋に入れられ柱に幾個か掛けてある。
と、正面の扉が開いて、十平太がはいって来た。すると部屋の片隅のゴブラン織りの寝台から嗄れた声が聞こえて来た。――
「おお十平太か、よいところへ来た。ちょっとここへ来て手伝ってくれ」
頭領小豆島紋太夫の声に、それは疑がいないのであった。
はっと十平太は呼吸を呑んだが、さすがに逃げもしなかった。
「頭領」と声を掛けながら寝台の方へ突き進んだ。