Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
今も冷雨は降っていた。その冷雨に濡れながら、髪を乱し衣紋を乱した、若い美しい狂人の娘が、田沼家の前を行ったり来たりしていた。
「ね、もう一度ままごとをしようよ」
そう喚く声がここまで聞こえた。が、間もなく姿が消えた。裏門の方へでも行ったのであろう。
パラパラと不意に降って来て、しばらく経つとスッと上がる。これが冷雨の常である。冷雨が上がった。
「へい皆様、ご免くだすって」
易者が最初にこう声をかけて、軒下から往来へ出た。
「それじゃ私も」
「では拙者も」
などと云いながら五人の者は、つづいて軒下から往来へ出た。そういう様子を少し離れた、これも軒下に佇んで、雨宿りをしていた三十五、六歳の武士が、狙うようにして見守っていたが、
「またあいつら何かをやり出すな」
言葉に出して呟いた。それから首を傾げるようにしたが、
「どうもそれにしてもお篠という女が、あのお方の側室にあがって以来、あのお方のやり方が変になられた。……どっちみちお篠に似た女の狂人が、こう輩出したのではやり切れない」
(よし、一つ調べてやろう)
その日の夕方のことであったが、神田三崎町三丁目の、指物店山大の店へ、ツトはいって来た侍があった。