Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
「これから何んとなされるお気かな?」
貝十郎が不安そうに訊いた。
「可哀そうなお品を助け出すつもりで」
「ギヤマン室へ忍び込んでかな?」
「場合によっては切り込んで!」
十一
この頃三人の男女の者が、主屋から廻廊の方へ歩いていた。
「伊豆殿、私はこう思うので、音物は政治の活力だとな」こう云ったのは六十年輩の、長身、痩躯、童顔をした、威厳もあるが卑しさもあり、貫禄もあるが軽薄さもある、変に矛盾した風貌態度を持った、気味のよくない侍であった。主人田沼主殿頭なのである。「私はな、日々登城して、国家のために苦労いたし、一刻として安き時はござらぬ。ただ退朝して我が家へ帰った時、邸の長廊下を埋めるようにして、諸家から届けられた音物類が、おびただしく積まれてあるのを見て、はじめて心の安きを覚え、働こうという勇気が起こりましてござるよ」
「ごもっとも様に存じます」こう合槌を打ったのは、後からついて来た四十年輩の侍で、眉細く口大きく、頬骨の立った狡猾らしい顔と、頑丈な体とを持っていた。他ならぬ松本伊豆守なのである。「音物はお贈りする人の心の、誠の現われでございますれば、眺めて快く受けて楽しいよろしきものにございます」