Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
薄縁の敷かれた長廊下には、現在諸家から持ち運ばれた無数の音物が並べられてあった。屏風類、書画類、器類、織物類、太刀類、印籠類、等々の音物であった。そういう音物類を照らしているのは、二人の先に立って歩いている、女の持っている雪洞の火であった。紅裏を取り、表は白綸子、紅梅、水仙の刺繍をした打ち掛けをまとったその下から、緋縮緬に白梅の刺繍をした裏紅絹の上着を着せ、浅黄縮緬に雨竜の刺繍の幅広高結びの帯を見せた、眼ざめるばかりに妖艶な、二十歳ばかりの女であって、主殿頭の無二の寵妾、それはお篠の方であった。唇が蜂蜜でも塗ったように、ねばっこく艶々と濡れ光っている。紅で染めた紅い唇であって、淫蕩の異常さを示していた。
「さあ参ろうではございませぬか、妾と同じ顔をした、お品様がお待ちかねでございます」
お篠の方はこう云ったが、その声には惨忍な響きがあった。
十二
「お篠、お前には退治られたよ。お前にかかると私というものは、まるっきり私でなくなってしまう」
主殿頭はこう云い云い、廊下をゆるやかに先へ進んだ。
「いいえそうではございません」お篠の方は遮るように云った。