Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
頸に現われている静脈が、充血のためにふくらんでいる。膝に突いている両の拳の、何んと亢奮で顫えていることか! ――京一郎はそういう姿で、お才へ迫って行くのであった。
「京一郎や、まあお前は!」お才は思わず立ち上がった。
「まるで妾を! ……どうしようというのだよ! ……」
「金だ!」と京一郎もつづいて立った。
「今! すぐにだ! ねえお母様!」
「狂人だ! お前は! ……おお恐ろしい! 誰か来ておくれ、京一郎が妾を!」
――こんなことがあってよいものだろうか! 母はその子に殺されるかのように、こう大声に助けを呼んで、縁から庭へ遁がれようとした。
「お母様!」と追い縋った。
「誰か来ておくれ!」と障子をひらいた。
「逃げますか! お母様! コ、こんなに……頼んでも頼んでも頼んでも!」
よーし! と猛然と追い迫った時、自然にまかせて生い茂らせ、長年手入れをしなかったため、荒れた林さながらに見える、庭木の彼方に立っている、これはそういう林の中の、廃屋さながらの建物の中から、老人の歌声が響いて来た。
※(歌記号、1-3-28)かすかに見ゆる
やまのみね
はれているさえなつかしし