Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうしまつ
十姉妹
山本 勝治
Lesen Sie 十姉妹 (じゅうしまつ) von 山本 勝治 (やまもとかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.110 Zeichen · 20 Bildschirme
母は洗濯とボロ綴りに総ての時間を消費し、妹の絹は、あどけなさと快活な足音とを何処かで失くした様な佗しい小娘だった。
催促のはげしい負債返還の日が近づいても、一年の衣類代と肥料代に当てるべき養蚕の上り高さえ予想外に少くない現在如何にし様もない事は、碌々稼ぎを手伝えない慎作には身に沁みて分かっていた。仙人の様にしなびた脛を、一種超然たるあぐらに組んだ祖父は、落着き過ぎた下半身とは反対に、顔を無闇にガクンガクンさせて、切抜け様もない窮迫を、慎作と父のせいの様にして怒鳴り立てた。
「ほんまに如何する気や、お前等呑気そうに黙ってくさるが、今度こそわしにも見当はつかんぞ、おい慎作、お前の……その何や、新らしいとか云う頭で考えついたこと云うてみい。ヘン、こんな世帯智恵は出まへんがな、直造かて、足しにもならん水換えばかり能やないぜ、何んとか法見付けたらどうやね」
七十八にしてはまだ弾力のある声だった。父は眼を眇める様にしてチラと慎作を一瞥しただけで黙っていた。皆の無視的な態度が祖父の尖がった肩を余計に厳めしくした。
「組合やたら、何やたら、碌でもないことばっかり仕腐って、ええ若い者が何の様や、一ペンでもええから、絹に一枚の木綿物位、買うてやってみい、罰は当たらんぞォ」