Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme
つかれたらしい海にあきたらしいあくびをするたんびに、
「私の顔も赤くなったしもう二十日より長くも居たんですもの帰ってもいい頃でしょう、あんまりこうやって居ると馬鹿になってしまいますもん」
と自分と同じ様に他人ばかりの中に自分の二人の子供と又それ以外のいろいろの事を守って居なくっちゃあならない努力につかれた様な顔をして居る母親をつかまえては云って居た。
「それもいいネエ、私ももう居るのにあきて来た、もう四五日にもなったら帰ろう」
何にも思ってなそうな女中までそれをきいた時うれしそうに、
「お嬢さま、私ももうほんとうに……」
と云った位であった。
嫁いで来てから随分長い間世間を苦労して渡って来た母親も宿屋生活をしなれないんで、又気ぐらいの高い事や高くとまった心をもって居る事やで人に知れない苦しみがこの旅行にともなって居た。
自分の若い娘をなるたけよく、きれいにととのったものに見せたいと思いながら又男達にふり向かれたり、何か云われたりするといかにも不安心な抱えて置きたいとまで思われるのであった。
小さい子供は海には入りはすまいか、ころんで額にきずを作りはしまいかと云うとりこし苦労までたった一人で、御まけに少しは神経衰弱になって居る頭であれこれと気をくばる事はつらい又努めなければならない事であった。