Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
中野近くで橇を降りた。道路に雪のある間は足も暖かであったが、そのうちに黄ばんだ泥をこねて行くような道に成って、冷く、足の指も萎れた。親切な飯山の宿で、爪掛を貰って、それを私は草鞋の先に掛けて穿て来た。
一月十四日のことで村々では「ものづくり」というものを祝った。「みずくさ」という木の赤い条に、米の粉をまるめて繭の形をつくる。それを神棚に飾りつける。養蚕の前祝だという。
帰りには、日光の為に眼もまぶしく、雪の反射で悩まされた。その日は千曲川の水も黄緑に濁って見えた。
豊野から復た汽車で、山の上の方へ戻って行った時は次第に寒さの加わることを感じた。けれども私は薄暗い陰気な雪の中からいくらか明るい空の方へ出て来たような気がして、ホッと息を吐いた。
その十一
山に住む人々の一
以前私が飯山からの帰りがけに――雪の道を橇で帰ったとは反対の側にある新道に添うて――黄ばんだ稲田の続いた静間平を通り、ある村はずれの休茶屋に腰掛けたことが有った。その時、私は善光寺の方へでも行く「お寺さんか」と聞かれて意外の問に失笑した事が有った。同行の画家B君は外国仕込の洋服を着、ポケットに写生帳を入れていたが、戯れに「お寺さん」