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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme

Aozora Bunko

単調な軒の玉水の音も楽しい。

堅く縮こまっていた私の身体もいくらか延び延びとして来た。私は言い難き快感を覚えた。庭に行って見ると、汚れた雪の上に降りそそぐ音がする。屋外へ出て見ると、残った雪が雨のために溶けて、暗い色の土があらわれている。田畠も漸く冬の眠から覚めかけたように、砂まじりの土の顔を見せる。黄ばんだ竹の林、まだ枯々とした柿、李、その他眼にある木立の幹も枝も、皆な雨に濡れて、黒々と穢い寝恍顔をしていない物は無い。

流の音、雀の声も何となく陽気に聞えて来る。桑畠の桑の根元までも濡らすような雨だ。この泥濘と雪解と冬の瓦解の中で、うれしいものは少し延びた柳の枝だ。その枝を通して、夕方には黄ばんだ灰色の南の空を望んだ。

夜に入って、淋しく暖い雨垂の音を聞いていると、何となく春の近づくことを思わせる。

北山の狼、その他

生徒と一緒に歩いていると、土地の種々な話を聞く。ある生徒が北山の狼の話を私にした。その足跡は里犬よりも大きく、糞は毛と骨で――雨晒しになったのを農夫が熱の薬に用いる。それは兎や鳥なぞを捕えて食うためだという。お伽話の世界というものはこうした一寸した話のはしにも表れているような気がする。