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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme

Aozora Bunko

田舎縞の手織物を着て紺の前垂を掛けた、髪も質素に短く刈ったのが、主人であった。この人は一切の主権を握る相続者ではないとのことであったが、しかし堅気な大店の主人らしく見えた。でっぷり肥った番頭も傍へ来た。池の鯉の塩焼で、主人は私達に酒を勧めた。階下には五六人の小僧が居て、料理方もあれば、通いをするものもあった。

一寸したことにも、質素で厳格な大店の家風は表れていた。番頭は、私達の前にある冷豆腐の皿にのみ花鰹節が入って、主人と自分のにはそれが無いのを見て、「こりゃ醤油ばかしじゃいけねえ。オイ、鰹節をすこしかいて来ておくれ」

と楼梯のところから階下を覗いて、小僧に吩咐けた。間もなく小僧はウンと大きく削った花鰹節を二皿持って上って来た。

やがて番頭は階下から将棋の盤を運んだ。それを仕立屋の前に置いた。二枚落しでいこうと番頭が言った。仕立屋は二十年以来ぱったり止めているが、万更でも無いからそれじゃ一つやるか、などと笑った。主人も好きな道と見えて、覗き込んで、仕立屋はなかなか質が好いようだとか、そこに好い手があるとか、しきりと加勢をしたが、そのうちに客の敗と成った。