Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
君に黒斑山のことは未だ話さなかったかと思うが、矢張浅間の山つづきだ、ホラ、小諸の城址にある天主台――あの石垣の上の松の間から、黒斑のように見える山林の多い高い傾斜、そこを私達は今歩いて行くところだ。あの天主台から黒斑山の裾にあたって、遠く点のような白壁を一つ望む。その白壁の見えるのもこの山村だ。
塩俵を負って腰を曲めながら歩いて行く農夫があった。体操の教師は呼び掛けて、
「もう漬物ですか」と聞いた。
「今やりやすと二割方得ですよ」
荒い気候と戦う人達は今から野菜を貯えることを考えると見える。
前の前の晩に降った涼しい雨と、前の日の好い日光とで、すこしは蕈の獲物もあるだろう。こういう体操教師の後に随いて、私は学生と共に松林の方へ入った。この松林は体操教師の持山だ。松葉の枯れ落ちた中に僅かに数本の黄しめじと、牛額としか得られなかった。それから笹の葉の間なぞを分けて「部分木の林」と称える方に進み入った。
私達は可成深い松林の中へ来た。若い男女の一家族と見えるのが、青松葉の枝を下したり、それを束ねたりして働いているのに逢った。女の方は二十前後の若い妻らしい人だが、垢染みた手拭を冠り、襦袢肌抜ぎ尻端折という風で、前垂を下げて、藁草履を穿いていた。