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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme

Aozora Bunko

白いしなやかな手を振って、柔かな靴音をさせる紳士だった。それで居て動作には敏捷なところもあった。丁度あの頃私はトルストイの「アンナ・カレニナ」を読んでいたから、私は自分で想像したヴロンスキイの型をその参事官に当嵌てみたりなぞした。あの紳士が肩に掛けた双眼鏡を取出して、八つが岳の方に見える牧場を遠く望んでいた様子は――失礼ながら――私の思うヴロンスキイそのままだった。

あの時の混雑に比べると、今度は原の上も寂しい。最早霜が来るらしい雑草の葉のあるいは黄に、あるいは焦茶色に成ったのを踏んで、ポツンポツンと立っている白樺の幹に朝日の映るさまなぞを眺めながら、私達は板橋村という方へ進んで行った。この高原の広さは五里四方もある、荒涼とした原の中には、蕎麦なぞを蒔いたところもあって、それを耕す人達がところどころに僅かな村落を形造っている。板橋村はその一番取付にある村だ。

以前、私はこの辺のことを、こんな風に話の中に書いた。

「晴れて行く高原の霧の眺めは、どんなに美しいものでしょう。すこし裾の見えた八つが岳が次第に険しい山骨を顕わして来て、終に紅色の光を帯びた巓まで見られる頃は、影が山から山へ映しておりました。